広帯域エネルギー理工学開拓研究分野

附属エネルギー複合機構研究センター 広帯域エネルギー理工学開拓研究分野
准教授:紀井俊輝、教授(兼):稲垣 滋

幅広い時空間スケールでのエネルギーの新しい活用を目指し、強力かつ精密な磁場制御による粒子制御や磁気閉じ込め核融合プラズマにおける、輸送現象の解明に取り組んでいます。

バルク超伝導体による周期交替磁場の精密制御と新しい局所強磁場応用の開拓

現在、材料分析などで重要な役割を果たしている10 keV 以上の高輝度X 線ビーム生成には6〜8 GeV クラスのSPring-8を代表する大型放射光施設が必要とされています。我々は、バルク超伝導体がもつ高い臨界電流密度特性に着目し、従来技術にくらべ半分以下の短い周期でより強力な周期交替磁場生成し、小型かつ省エネルギーの3GeV クラスの放射光施設で硬X 線を利用できるようにすることを目指しています。最先端の放射光利用研究に必要な環境負荷を大幅に低減することでカーボンニュートラルな社会への貢献を目指します。また、バルク超伝導体内部の高電流密度の誘導電流を活用した高度な磁場制御技術を発展させ、 磁気分離/クロマトグラフィー、スピン流操作デバイス、基礎研究用ヘリカル磁場・らせん磁場の磁気レプリカ生成といった、新しい応用分野の開拓を狙っています。

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バルク超伝導体と非磁性体を交互に重ね合わせ、冷却して磁場変化を与えると超伝導体内部に大電流が誘導され、中心軸上に周期交替磁場を生成することができます。用いる超伝導体の違いにより、異なる特徴を持つ周期磁場を生成することができます。赤点線:強力な交替磁場(希土類銅酸化物超伝導体) 青実線:精密な交替磁場(MgB2

核融合プラズマの乱流輸送研究

核融合発電の実現には、高エネルギープラズマをトーラス磁場によって効率的に閉じ込める必要があります。しかし、閉じ込められたプラズマ内では温度勾配による乱流が不可避に発生し、この乱流が主要なエネルギー輸送メカニズムとなり、プラズマの閉じ込め性能を決定します。 乱流輸送は、突発的であったり大域的であったり、時間と空間の幅広いスケールで起こるため予測が困難です。我々は、超高速デジタイザを用 いた電子サイクロトロン放射計測や先進データ解析を駆使し、広帯域の プラズマ乱流スペクトルを観測し、その物理的な性質を解明することを 目指しています。

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プラズマ中の突発的な輸送現象。自己組織化臨界によりプラズマ中に雪崩が起こり、熱が外に運ばれている。

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