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新量子放射源

New Quantum-Radiation Sources

京大エネルギー理工学研究所 山崎 鉄夫
TETSUO YAMAZAKI


キーワード:電子加速器,電子リニアック,電子蓄積リング,シンクロトロン放射,自由電子レーザー,レーザー逆コンプトン散乱,低速陽電子ビーム,コヒーレントシンクロトロン放射,コヒーレント遷移放射

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2.新量子放射源

Fig. 1. Creation of active energy levels.
Fig. 1. Creation of active energy levels.
 新量子放射源という言葉はまだ聞き慣れないが,ここでは高度な時間的,空間的,位相空間的選択性を持ったビームとして定義する.例えばエネルギー幅が非常に小さい,低エミッタンス,短パルスのビームである.その極限は量子化であろうし,波動として考えるとコヒーレンスであろう.加速器を用いて発生するこれらの新しい放射源は,自然界にある原子核,原子,分子等の準位を人工的にアクティブに作り出すことによって得られ,それ故に様々な要求に対応できる柔軟性も具え得る.例えばFig. 1に見られるように,従来のレーザーは原子や分子に束縛された電子が高エネルギー準位から低エネルギー準位に遷移する時に発生するが,自由電子レーザーではアンジュレータと呼ばれる周期的な磁場の中を走る高エネルギー電子が蛇行してアンジュレータ放射を発生し,それと電子ビームの相互作用によって電磁波が増幅されてコヒーレントになる.後者では準位を作り出しているのであり,そのために通常のレーザーにはない広範囲にわたる波長可変性等の柔軟性が実現する. 加速器はそれ自体高度な先端技術の結晶であるが,他の先端技術と結合させることによって有用な量子放射源が実現する.

3.シンクロトロン放射


> Last modified: Tue Aug 12 11:58:32 JST 2003