量子放射エネルギー研究分野 京都大学エネルギー理工学研究所 エネルギー生成部門 量子放射エネルギー研究分野 京都大学エネルギー理工学研究所
用語集

FELに関する主な用語

アンジュレータ
周期交代磁場を形成し、電子に周期的な蛇行運動を与えるための装置。通常、永久磁石 、電磁石を並べて作られる。
位相速度
波の速度の一つで、一定の位相の状態、すなわち波面の進行する速度をいう。
FEL
free electron laserの略。日本語名は自由電子レーザー。 光速に近い電子の塊が一対の合わせ鏡で構成された光共振器の間に置かれたNS極が交互に 変わる磁場によって、一定周期で蛇行する毎に発生するシンクロトロン放射が干渉して生 ずる位相のそろったコヒーレントな単色光(レーザー)。
エミッタンス
電子ビームの運動量のばらつきを表すパラメータ。これが小さいほど、発散角が小さい細く 絞れたビームということになる。通常、位置ー運動量の相空間内に占める、電子ビームの面積 で表し、mm、mradを単位とすることが多い。
共振器
FELでは、発生する電磁波を閉じ込めるために用いられる。通常、対向した二枚の鏡と 真空ダクトからなる。
クライストロン
マイクロ波増幅管の一種。カソードから出た電子は、入力空洞に加えられた入力により 速度変調を受け、ドリフトしながら空間的に集群する。この集群した電子が出力空洞に マイクロ波を励起する。高周波加速器のマイクロ波源として広く用いられている。
高周波線形加速器
マイクロ波を使って電子を加速する加速器を高周波加速器と呼び、そのうち、線形のものを 高周波線形加速器という。通常、電子銃から入射した電子ビームをバンチャーで集群、予備 加速し、加速管において最終エネルギーまで加速する。FELの主要な加速器の一つ。
シンクロトロン放射光
相対論的な電子が静磁場により曲げられるときに電子軌道の接線方向に鋭く発生する光で、 軌道放射光ともいう。自発放出光であり、インコヒーレント光とされる。
導波管
電磁波伝送路のうち、主としてマイクロ波を伝える金属製の筒をいう。平面波が管内壁 で反射しながら管軸方向に伝搬する。
熱陰極型高周波電子銃
高温に加熱した陰極表面から放射される熱電子を、高周波電界により加速する 電子銃。電子ビームを制御し集束するウエネルト、または、グリッド電極を設ける。
バンチャ
荷電粒子のバンチ(集群したかたまり)を生成し、予備的に加速する加速器構成要素。 一般に、高周波空洞で、バンチ後部の荷電粒子の速度が前部に比べて高くなるように 速度変調を加え、ビーム輸送部でバンチが圧縮されるような密度変調を起こさせる。
フィリングファクタ
電子ビームと光ビームがアンジュレータ部で相互作用を起こすときの、ビーム断面積の比。 電子ビームのほうが大きい場合、フィリングファクタは1より小さくなる。ゲインを大きく するには、フィリングファクタは大きいほどよい。


参考文献:「入門自由電子レーザ」 日本原子力学会