研究内容
バイオマスの超穏和溶解による高度利用
木材や農産廃棄物を室温から風呂温度程度の超穏和な条件で、有機酸などに可溶化し、紙とプラスチックの性質を合わせもつウッドペーパーや、その他のバイオマス成形体を創成するとともに、バイオマスが溶解した液体からセルロースやリグニンを常温で分離・利用する方法などの開発研究を行います。
木質バイオマス分子変換反応による機能性化合物の創出
化学産業で森里川海・地域循環共生社会を繋ぎ、生長させるための化学反応を研究します。新たな分子触媒を開発し、低エネルギー消費、低環境負荷で、里山地域に実装できる木質バイオマス分子変換反応を開発し、シン (新, 森) 材料を創出します。
バイオマスの微細構造のNMR法による決定と酵素を用いた利活用法の開発
植物バイオマス及びその変換物の分子構造・超分子構造を、NMR法を用いて原子レベルの分解能で決定し、利活用のための分子基盤を確立します。また、セルロース・ヘミセルロース・リグニンを、酵素を用いて穏和な条件下で分解・変換することで、環境負荷が低い利活用法を開発します。
植物バイオマスの正確な診断と高度利用
脱炭素、カーボンニュートラル化の中核を担う植物バイオマスのポテンシャルを十分に引き出すために、その分子構造の精密分析、解析を行います。また、リグノセルロース高分子変換法によって得られる高分子リグニンをプラスチック複合材料などの化成品に展開する高度利用を目指します。
バイオマスの直接誘導体化による成分分離と各成分の特徴を生かした利用法開拓
植物バイオマス資源を直接化学処理し、セルロース、ヘミセルロース、リグニンを全て高分子のまま取り出し、体温付近で可逆的に熱応答するヒドロゲル、疎水的な化合物を取り込むことが出来るナノサイズの粒子、安全性の高い界面活性剤など、バイオマスの新しい利用法を開拓します。
木材のプラスチック化と高付加価値材料への応用
木材を成分分離せず、総体としてプラスチック材料に変換できることが所属の研究室で見出されました。木材にプラスチック性、即ち、熱可塑性を付与すると、おが屑などの利用の幅が格段に広がります。本研究では、化学修飾、グラフト共重合、他素材との複合化などを通して木材の高付加価値材料化を図ります。
新規錯体触媒によるバイオマス資源からの水素と有用有機化合物の生産
セルロースをはじめとするバイオマス資源を用い、脱水素化に高活性を示す新規錯体触媒の作用による水素製造反応の開発を行います。さらに、脱水素化後に生じる含炭素成分を有用有機化合物へと変換する触媒系構築にも取り組みます。