研究

Research

高パワー電磁波と荷電粒子ビームの高度制御による高品位粒子エネルギーの発生と利用

電磁波と荷電粒子との相互作用の高度・高精緻制御技術の確立は21世紀の人類に計り知れない恩恵をもたらします。高パワー電磁波によって生成・加熱された核融合プラズマの閉じ込め性能の改善と理解,加熱・電流駆動システムの開発を行う とともに,地雷や空港等での爆薬・違法薬物探知や医療など多様な応用が期待される超小型放電型核融合中性子・陽子源,自由電子レーザを代表とする先進量子 放射源を実現するための高輝度電子ビームの発生,荷電粒子ビームの電磁場を介した高効率直接エネルギー変換など,高品位粒子・電磁波エネルギーの発生・制 御・変換・応用の研究を行っています。


高温プラズマの測定およびプラズマ着火の解析

電磁波でプラズマを測る

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イルカやコウモリが超音波を照射し、反射波から周囲の情報を得ていることは良く知られています。よく似た原理でプラズマを計測することが可能です。プラズマ中に電磁波を入射すると周波数に応じて、ある密度以上のプラズマに侵入できず反射されます。反射してきた電磁波の情報から、反射点のプラズマの密度や揺らぎの情報を得ることができます。これによって数百万のプラズマを非接触で計測することが可能です。

プラズマ乱流を測る

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乱流が構造を形成することは自然界に 広く見られます。良く知られているものとして、木星に観測される“しましま“構造があります。これは帯状流といわれ、乱流が自身で勝手に構造を形成しています。プラズマ中にも乱流によって帯状流などの構造が形成されます。これらの構造によってプラズマの閉じ込めは良くなったり/悪くなったりします。乱流やこれらの構造を計測することはプラズマの閉じ込めを理解することと同時に、自然現象を理解することにも繋がります。

プラズマを温める

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プラズマを温めるにはさまざまな方法があります。
  1. プラズマ中に電流を流しプラズマを温めることができます。これは、導線に電流を流すと導線が温められるという原理を利用しています。
  2. 電子サイクロトロン波と呼ばれる電磁波を用いて加熱する方法があります。例えば、電子レンジで食品を温めるように、プラズマを温めることができます。
  3. 中性粒子入射(Neutral Beam Injection: NBI)というプラズマ中に高速の水素原子を入射して加熱する方法もあります。

プラズマ生成のための1次元モデルの開発

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超伝導トカマクJT-60SAは、常伝導トカマクJT-60Uの既存装置・建屋を最大限再利用し、磁場コイルを超伝導化することで核融合プラズマを100 s程度維持し、核融合発電に向け長時間運転と制御方法を実証することを目的として、現在、那珂核融合研究所に建設中です。

JT-60SAは超伝導コイルを用いており、トロイダル電圧が0.5 V/mに制限されています(上の方法a. に対応)。また、これは常伝導トカマクのそれに比べて低いため、真空容器壁の状況によってはプラズマ着火が行えない可能性があります。この問題を解決するために電子サイクロトロン共鳴加熱(ECRH)によりプラズマを補助加熱することが提案されています(上の方法b.に対応)。 このため、様々な状況下でも信頼性あるプラズマ着火が行えるかどうか検討するために1次元モデルの開発を行っています。