狂牛病を引き起こすプリオン蛋白質の異常化を抑制するRNA分子の開発 ―アルツハイマー病の治療への応用の可能性も―
Research Topics / 研究トピックス
片平正人エネルギー理工学研究所教授、真嶋司 同助教らの研究グループは、岐阜大学らと共同で、プリオン病に繋がる蛋白質の構造変化を抑制するRNA分子(RNAアプタマー)の開発に成功しました。
狂牛病やヒトのクロイツフェルトヤコブ病等のプリオン病は、プリオン蛋白質が正常型(PrPC)から異常型(PrPSC)へ構造変化する事で生じます。開発したRNAアプタマーは、プリオン蛋白質の正常型に強く結合して異常型への変化を抑制します。ある種の抗体を除けば、これまでに知られている物質の中で最も高い抑制能を有します。 本研究では、このRNAアプタマーの立体構造を、核磁気共鳴(NMR)法によって決定しました。得られた特異な構造から、高い結合能ひいては高い抑制能を示すメカニズムがわかりました。 プリオン蛋白質はアルツハイマー病に関連するアミロイドβ蛋白質の受容体として、病因性シグナルの伝達にも関与しています。従って本RNAアプタマーは、プリオン病及びアルツハイマー病治療薬として応用できる可能性があります。 本研究成果は、2020年3月18日に、国際学術誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。