二次元半導体ヘテロ界面における磁気バルク光起電力効果の実証−量子力学的な効果を利用した太陽電池デバイスへの新たな設計指針−

Research Topics / 研究トピックス

 従来の太陽光電池で用いられているp-n接合による光起電力効果は、その電圧および光電力変換効率に原理的な限界が存在しています。これに対して量子力学的現象から生じるバルク光起電力効果には、そのような原理的な制約が存在せず次世代の太陽光電池応用に向けて注目を集める一方で、その現象の本質的な理解や探索は十分ではありませんでした。

 朝田秀一 エネルギー科学研究科博士課程学生、物質材料研究機構の渡邊賢司 特命研究員、谷口尚 理事、篠北啓介 エネルギー理工学研究所 助教(研究当時、現:分子科学研究所准教授)、松田一成 同教授らの研究グループは、わずか原子数層の薄さの二次元半導体と磁気層状物質を重ねたデバイスを作製し、磁性状態(スピンの向き)によるバルク光起電力の変化を観測しました。その結果、一般にバルク光起電力効果として知られるシフト電流以外に、磁気注入電流と呼ばれる光電流を同時に観測することに成功しました。さらにこの磁気注入電流は磁性状態によって変化し、光電流を増幅させることが可能であることを示しました。本研究は、バルク光起電力効果を用いた太陽光電池デバイスの開発に新たな指針を与えるものです。

 本研究成果は、2025年5月24日に、国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。


観測に成功した磁気バルク光起電力効果とそのデバイスのイメージ図

詳しい研究内容について

二次元半導体ヘテロ界面における磁気バルク光起電力効果の実証−量子力学的な効果を利用した太陽電池デバイスへの新たな設計指針−

エネルギー機能変換研究部門 ナノ光科学研究分野

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