中赤外自由電子レーザーを使って Gd3Al2Ga3O12:Ce 結晶中の隠れた電子トラップ 準位を可視化する

Research Topics / 研究トピックス

2018.1.19付け、M. Kitaura, H. Zen, K. Kamada, S. Kurosawa, S. Watanabe, A. Ohnishi, K. Hara らの研究 「Visualizing Hidden Electron Trap Levels in Gd3Al2Ga3O12:Ce Crystals Using a Mid-Infrared Free Electron Laser」 が論文誌 Applied Physics Letters に掲載されました。
DOI: 10.1063/1.5008632
エネルギー生成研究部門 量子放射エネルギー研究分野

研究成果の概要:
Gd3Al2Ga3O12:Ce結晶において伝導帯底部近傍に形成される浅い電子トラップ準位は シンチレーション発光に燐光成分を生じさせ、シンチレーション特性を低下させる。
本研究では、その電子トラップ準位を伝導帯底部を基準として決定するために、自由 電子レーザーからの中赤外光とYAGレーザーシステムからの紫外光を完全同期した ポンププローブ分光システムを用いて輝尽発光の励起スペクトルを測定した。
その結果、約0.31eVから高エネルギー側にかけて吸収が起こることを見出した。
その閾値エネルギーを解析したところ、伝導帯底部から約0.31eVにトラップ準位が 存在することを明らかにした。このエネルギーは,時間分解発光分光から決定された 0.25eVとほぼ一致しており、僅かなズレは時間分解分光の解析モデルが熱励起に基づ いているためである。熱励起と光励起では終状態が異なり、熱励起の方が僅かに小さ くなる傾向にあり、より正確なデータを結晶育成の過程に反映させることができた。

VHETL01_J.png

VHETL_02.png

自由電子レーザーの中赤外光パルスの光子エネルギーが0.31 eVを越えるとCe3+イオンからの輝尽発光が急激に強められる。この結果から電子トラップ準位が伝導帯から0.31eVだけ下に隠れていることを示す。この研究は中赤外自由電子レーザーが隠れた電子トラップの探索に利用できることを示すものである。

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