所長挨拶

所長 岸本泰明 生命の起源ともいえる太陽エネルギーは、太陽中心の極限状態の中で核融合反応によって生成され、それが光のエネルギーとして地球に届き、10億年を超える時を経て地上に生命を育んできました。エネルギーは宇宙の広大な時空間スケールの中で、リレーをするように自然の巧妙なメカニズム
を通して姿や形を変え、豊かな地球環境と調和した生命圏を築いてきました。エネルギーに関わる様々な問題が現出する21世紀の今日、その解決には、個々のエネルギーとともに、リレーの全体像を大局的に見る広い視野に立ったエネルギー研究が求められているといえます。
 エネルギー理工学研究所はエネルギーの在り方を調和した自然の摂理や原理まで立ち返って探究し、次世代を担う新しいエネルギーの学理とそれを先導・実現する先端技術の創出を目指して1996年に設立されました。エネルギーの基本要素である生成・変換・利用を名称に持つ3部門14研究分野と、それらを有機的に結合したプロジェクト研究や学術性の高い研究に挑戦する3研究分野を含む附属エネルギー複合機構研究センターを設置し、これまで多くの研究成果を生み出してきました。また、研究の国際化を積極的に進め、産学官連携を通して研究成果を社会に還元するとともに、大学院エネルギー科学研究科の協力講座を担当し、最前線の研究環境の中で学生教育と研究者育成を行ってきました。
 これらの理念のもと、本研究所では、「プラズマ・量子エネルギー」と「ソフトエネルギー」の二つを基軸として、前者は太陽エネルギーそのものを地上で生成する核融合エネルギーの実現、後者はそのバトンを受けて、地球環境の中で生命圏を築いてきた生物や物質科学の原理に基づいた高機能で高効率なエネルギーの実現を目指した研究を展開しています。これら二つのエネルギーの姿や形は一見異なるように見えますが、核融合反応を起こすプラズマは、近年、多彩な構造を自ら形成する自律性の高い媒質であり、様々な構造を自発的に形成する生物にも似た特性を持っていることが分かってきています。
 当研究所では、そのような広いエネルギー領域の多様な現象や概念をバトンとして、それらの受け渡しによって創出される新しいエネルギー理念を「ゼロエミッションエネルギー」という言葉に込め、広範囲の学術分野の研究者と連携・協力して共同利用・共同研究拠点活動を展開してきました。織物の美しい文様が、異なった姿や形の縦糸と横糸の交差から生まれるように、広いエネルギー領域における研究の積極的な融合を通して、21世紀をリードするエネルギーの新機軸を築いていきたいと考えています。
 このため、所員一同、京都大学の自由な学風の下、既成の概念や分野にとらわれることなく、議論を尽くして知恵を出し合う積極的な研究活動と運営を展開していく所存です。皆様の一層のご支援とご協力を賜わりますよう、よろしくお願い申し上げます。

所長 岸本泰明

  • 京都大学研究連携基盤
  • 国立大学附置研究所・センター長会議
  • 京都大学宇治キャンパス
  • 刊行物
  • 所内限定ページ
  • 京都大学
ページトップへ戻る