所長挨拶

所長 森井 孝 

エネルギー理工学研究所は、エネルギーの在り方を自然の摂理や原理まで立ち返って探究し、次世代を担う新しいエネルギーの学理と、それを先導・実現する先端技術の創出を目指して1996年に設立されました。現在は、自然科学域・エネルギー理工学系に所属する教員らが、エネルギーの基本要素である生成・変換・利用をそれぞれ冠した3部門に属する14研究分野と、研究所における共同利用・共同研究活動を支援する附属エネルギー複合機構研究センター、そして二酸化炭素を有効利用する新しい概念と学術基盤、そして科学技術の創出に、エネルギー科学研究科、工学研究科と連携して取り組む附属カーボンネガティブ・エネルギー研究センター(ICaNS)で先端研究に取り組んでいます。その中でも、太陽エネルギーを地上で生成する核融合の実現を目指す「プラズマ・量子エネルギー」、そして、太陽エネルギーによって地球の生命圏を築いてきた生物のエネルギー利用原理と物質科学に基づいて、高効率なエネルギー利用・変換を目指す「ソフトエネルギー」を重点複合領域研究に設定して、特色ある研究を展開しています。さらに研究の国際化と研究成果の社会への還元を積極的に進めるとともに、大学院エネルギー科学研究科の協力講座として最前線の研究環境で学生を教育し、若手研究者を育成するとともに、全学共通教育にも貢献しています。

2022年度から第3期の活動を開始した、文部科学大臣認定の共同利用・共同研究拠点事業「ゼロエミッションエネルギー研究拠点」では、ゼロエミッションエネルギー関連の研究者コミュニティの研究活動に貢献するだけでなく、拠点間の連携による新しい学術分野の開拓にも挑戦し、大学の、そして日本の研究力の強化に貢献します。また、本学附置研究所・センター群の連携を促進する「京都大学研究連携基盤」、先端研究設備を有効活用する「宇治地区設備サポート拠点」などにも参画し、学内他部局との連携事業を積極的に推進しています。エネルギー科学研究科とは、2019年度から文部科学省プロジェクト「国際先端エネルギー科学研究教育センター国際共同ラボの形成」を通じて教育研究活動の場を国際的に広げています。

2050年に「温暖化ガス排出量を実質ゼロにする」目標が、我が国でも設定され、カーボンニュートラルが世界的に社会の目標として掲げられています。温暖化ガス排出量を実質ゼロにするためには、エネルギーの生成、変換、利用過程において既存の技術を効果的に導入するだけでなく、多角的な視点から新しい学理、新しい技術の創出が必要です。カーボンニュートラル実現に向けて、そして感染症や自然災害などにも対応できる新しいエネルギー技術の多様な選択肢を提供するためにも、エネルギー理工学研究所が掲げてきたゼロエミッションエネルギーを指向する多岐にわたる研究が、ますます重要な役割を果たすようになっています。

京都大学の自由の学風のもとに、既存の学術分野の概念にとらわれることなく、新しいエネルギー理工学の学理を発出する研究所として、松田一成副所長(附属カーボンネガティブ・エネルギー研究センター長兼任)、片平正人附属エネルギー複合機構研究センター長をはじめ教職員全員で、研究活動とともに教育と国際・社会貢献に努めて参ります。皆様の一層のご支援をよろしくお願い申し上げます。

 所長 森井 孝

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