所長挨拶

片平所長 「ようやく時代が我々に追いついてきた」。不遜な態度であることを承知で敢えて言えば、我々、エネルギー理工学研究所はこのように考えています。遡ること13年、2011年に当研究所は文部科学大臣認定の共同利用・共同研究拠点事業を開始しました。拠点名は「ゼロエミッションエネルギー研究拠点」で、二酸化炭素等の有害物質の排出を極力抑えたエネルギーを研究するのがそのミッションです。今からは想像しにくいのですが、この拠点事業を開始した当時は、このミッションの意義・重要性について懐疑的な意見もかなりありました。本拠点事業は2011年度から2015年度の第一期、および2016年度から2021年度の第二期において、いずれも高い期末評価を獲得しました。当ミッションの意義・重要性が社会で広く認知され、当研究所がミッションの実現に向けて果たしてきた貢献が評価されたものと考えています。これを受けて、現在は2022年度から2027年度の第三期の拠点事業を遂行中です。時代が追いついてはきましたが、時代に追いつかれずに常にその先を進むため、「ゼロエミッションエネルギー」をさらに進めた「カーボンネガティブ・エネルギー」を研究する「附属カーボンネガティブ・エネルギー研究センター(ICaNS)」を2022年度に設立し、時代の先を行く研究を継続・進展させています。

エネルギー理工学研究所は、エネルギーの在り方を自然の摂理や原理まで立ち返って探究し、次世代を担う新しいエネルギーの学理と、それを先導・実現する先端技術の創出を目指して1996年に設立されました。研究所にはエネルギーの生成・変換・利用をそれぞれ冠した3つの部門に属する14の研究分野があります。これに加えて、上述の共同利用・共同研究拠点事業において共用に供される装置群を有し、拠点事業を支援する「附属エネルギー複合機構研究センター」と先述のICaNSが研究所を構成しています。研究所ではその根幹を成すものとして、二つの重点複合領域研究を設定しています。一つは核融合の実現を目指す「プラズマ・量子エネルギー」、もう一つは生物のエネルギー利用原理と物質科学に基づいて高効率なエネルギー利用・変換を目指す「ソフトエネルギー」です。

教育面においては、本研究所の各研究分野は京都大学大学院エネルギー科学研究科の協力講座となっており、同研究科の修士および博士課程の大学院生が相当数配属され、最先端の研究環境下で教育に当たっています。また、京都大学の全学共通科目の提供を通して学部教育にも貢献しています。さらに、2019年度からはエネルギー科学研究科とともに文部科学省プロジェクト「国際先端エネルギー科学研究教育センター 国際共同ラボの形成」を遂行し、教育研究活動の場を国際的に広げています。

京都大学の自由の学風のもとに、時代の先を行く研究所として、松田一成 副所長をはじめ、教職員全員で研究活動とともに教育と国際・社会貢献に努めて参ります。皆様の一層のご支援をよろしくお願い申し上げます。

 所長 片平 正人

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