自己組織化科学研究分野

附属エネルギー複合機構研究センター 自己組織化科学研究分野
教授:木下 正弘
生体系における分子レベルの種々の自己組織化・構造形成過程を同じ理論的枠内で統一的に解明する研究と取り組んでいます。

(1) 物質複合系の非線形挙動および高機能発現機構に関する研究

 物質は、他の物質と接触しあって、あるいは互いに混じりあって初めて高い機能を発揮します。複数の異なる物質要素で構成された系を物質複合系と呼び、生体系・コロイド分散系・固液接触系などが該当します。物質複合系では、それを構成する各々の要素の挙動の重ね合わせでは到底表現できない、全く想像もつかない高度な挙動が発現し得ます。その研究は新たなテクノロジーの開拓や新機能性材料の開発に結び付きますが、別々に進展し体系化されてきた複数の異分野の統合を必要とし、分野間の垣根を越えた共同研究体制を組んで初めて円滑に進めることができます。本研究分野では、固体物理学・電気化学・構造生物学などの専門家と協力し、金属-電解質水溶液界面の構造と性質、表面誘起相転移を利用したナノ空間内化学反応の劇的加速、RNA -蛋白質の認識機構、G 蛋白質共役型受容体(GPCR) に代表される膜蛋白質の耐熱化をもたらすアミノ酸置換の理論的予測などと取り組んでいます。

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(2) G 蛋白質共役型受容体(GPCR) に代表される膜蛋白質の耐熱化をもたらすアミノ酸置換の理論的予測

 GPCR は細胞外から細胞内に情報を伝達する重要な役割を果たしますが、それに問題が生じると様々な病気にかかります。GPCR は非常に重要な創薬のターゲットですが、立体構造が崩れ易いため、立体構造を決定することや薬剤との結合特性を調べることが困難です。本研究では、立体構造の安定性向上(耐熱化)に繋がるアミノ酸置換を統計熱力学に基づいて予測する方法の開発を行っています。

(3) 生体系における自己組織化および秩序化過程の統一的理解

 生体系における種々の自己組織化(蛋白質の折り畳みと高次構造形成など)や秩序化過程(複数のタイプの分子認識、ATP 駆動蛋白質の機能発現の基本となるF−アクチン上のミオシンの一方向移動やF1-ATPase 中のγ−サブユニットの一方向回転など)に対し、共通して見られる温度および圧力依存性、共溶媒および塩の添加効果に着目し、そ
れらを横断的・統一的に説明できる新しい理論体系の構築を進めています。水分子の並進移動に起因するエントロピー効果、なかでも生体分子-水分子間の多体相関からの寄与(例えば、自己組織化に伴う水分子間のエントロピックな相関の変化)を軸として、生命現象発現における水の役割を統計熱力学的に新しい切り口で明らかにします。独自に開発した積分方程式論と形態計測学的アプローチの統合型方法論が主な手段になっています。

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