複合化学過程研究分野

エネルギー利用過程研究部門 複合化学過程研究分野
特定准教授:川口健次 助教:山本貴之 助教:法川勇太郎、教授(兼):野平 俊之 
太陽光発電やバイオエネルギーなどの再生可能エネルギーを人類の主要な一次エネルギー源とするために、電気化学および生物化学を基盤として、基礎から実用化まで見据えた革新的研究を行っています。

溶融塩電解を用いた新しい太陽電池用シリコン製造法の開発

結晶系シリコン太陽電池は、高効率、高耐久性、無害、豊富な資源量といった特長を有することから、将来の太陽電池大量普及の本命として期待されています。結晶系シリコン太陽電池には、高純度のシリコン(99.9999% 以上)が必要であり、現在は半導体用シリコンと同様の方法で製造されています。しかし、この方法では大幅な低コスト化が難しく、新たな太陽電池用シリコン製造法の開発が求められています。我々は、シリコンからリンやホウ素などの不純物を除去することは大変困難である一方、シリコンの原料であるシリカ(SiO2)の段階であれば比較的簡単に除去できることに注目し、高純度化したシリカをそのまま高純度シリコンへ還元する溶融塩電解法を研究しています。すでに原理確認を済ませており、現在は電解操作の連続化や純度の向上に取り組んでいます。また、我々は、結晶系シリコン太陽電池の新しい製造法として、融塩電析法により、基板上にダイレクトに結晶性シリコン膜を製造する方法も研究しています。こちらも原理確認は済んでおり、現在はシリコン膜の品質向上やシリコン原料としてSiCl4を用いることに取り組んでいます。

溶融塩中でのシリカ電解還元による新シリコン製造法

我々は、溶融CaCl2中で粉末SiO2 を電解還元することでシリコンを得る新しい方法を提案しました(左)。原理確認実験での電解還元後の様子(右上)。得られたシリコン粉末から浮遊帯溶融法により作製された結晶Si 棒(右下)。

2017nohira.png

溶融塩電析による新しい太陽電池用結晶性シリコン膜製造法

我々は、溶融KF-KCl 中でSiCl4を原料として、電析により結晶性シリコン膜を得る新しい方法を提案しました(左)。Ag 線上に電析された結晶性シリコン膜の断面SEM 写真(右上)。得られたシリコン膜の結晶性を示すEBSD 分析結果(右下)。
fukugouka_1.png

バイオマスからのエネルギー物質高効率生産

化石燃料枯渇あるいは地球温暖化などの環境問題等の地球規模の重大な問題を解決する一つの方策として、バイオマスの更なる有効利用が望まれています。とりわけ、食料物質と競合しない非食物系バイオマスの効率的利用が必要です。エネルギー物質の中でも特に有用性の高いエタノールのバイオマスからの高効率生産を目指し、遺伝子操作やタンパク質工学などの先進的手法を用いて、バイオマスからのエネルギー物質の高効率生産システムの確立を目指しています。

バイオマスからのエタノール高効率生産の戦略

遺伝子組換技術により、元来エタノール生産能の高い酵母(Saccharomyces cerevisiae)の発酵能をさらに高め、非食物系バイオマスからのエタノール高効率生産システムの構築を行っています。

2017kotaki.png

安全性の高いイオン液体電解質を用いた新規蓄電池の開発

太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、天候によって発電量が大きく変化するため、大量導入すると電力の安定供給に問題が生じます。したがって、余剰電力を大型蓄電池に蓄えておくなどの方策が必要です。大型蓄電池の候補としては、現在広く普及しているリチウムイオン電池が挙げられますが、コバルトやリチウムなどの希少資源および可燃性・揮発性のある有機溶媒系電解液が用いられており、資源面・安全面の課題を解決する必要があります。そこで、我々は、ナトリウムやカリウムなどの豊富な資源を用い、電解質には難燃性・難揮発性で安全性の高いイオン液体を利用した新規蓄電池の開発を進めています。

カリウムイオン電池の原理図

カリウムイオンを含有するイオン液体電解質、カリウム系層状化合物などの正極材料、および炭素系負極材料を組み合わせて、安価、安全かつ高性能なカリウムイオン電池の構築を目指しています。

2020gukugouka_j.png

  • 京都大学研究連携基盤
  • 国立大学附置研究所・センター長会議
  • 京都大学宇治キャンパス
  • 京大宇治地区三研究所技術部
  • 刊行物
  • 所内限定ページ
  • 京都大学
ページトップへ戻る