複合系プラズマ研究分野

エネルギー生成研究部門 複合系プラズマ研究分野
教授:稲垣 滋 准教授:門 信一郎 助教:金 史良
多くの構造が共存する複合系プラズマでは複雑な協同現象が現れます。核融合プラズマは典型的な複合系プラズマであり、協同的効果が次々と構造を誘起し、プラズマは絶えず流転します。核融合エネルギー生成を目指し、このプラズマ流転の法則を解明します。

多くの要素や構造が共存するプラズマでは複雑な協同現象が現れます。このようなプラズマを複合系プラズマ(complex plasma) と呼びます。プラズマは電子やイオンといった荷電粒子の集合体です。プラズマが大きなエネルギーを持っていると波やうねり、流れ、渦といったプラズマの協同運動が生まれます。このプラズマの運動に伴なって熱や荷電粒子が、混ざったり、偏在したりします。そしてその偏在からまた新たなプラズマの運動が生まれ、とプラズマは絶えず流転していきます。このプラズマの"流転の法則"は、個別の荷電粒子の運動からは予測できないほど多様な時空間スケールのプラズマ運動をもたらします。
"核融合プラズマ"は複合系プラズマであり、非常に多様なダイナミズが現れます。核融合を実現するには、この複合系プラズマを理解しなくてはなりません。そのためにプラズマの"万物流転の法則"を解き明かそうとしています。法則の理解のためには"観測"が重要です。"観測"するためにはそこにプラズマを作って計測する必要があります。本研究分野では、プラズマ核融合の実現を目指してプラズマ実験装置「ヘリオトロン J」で、高エネルギープラズマを生成し、光や電磁波を用いてプラズマを計測し、データを解析しています。理論やシミュレーションと協働して核融合のための"万物流転の法則"に迫ります。

プラズマの本性を光で探る

 プラズマが発する光は密度、温度、イオン種、ゆらぎ、など多くの情報を有しており、プラズマの時間・空間的な振る舞いを調べるのに有効です。敵(プラズマ)を知り、己(計測法、データ解析手法)を知ることで、誰も見たことのないプラズマの本性を攻め取ることができると信じています。

大電力イオン源を用いた中性粒子ビーム入射システム

簡易な分光フィルムを通して肉眼で観測しても水素プラズマ(H2)とヘリウムプラズマ(He)とのスペクトルの違いがよくわかります。高感度・高分解能分光器により得られるプラズマの情報は膨大です。

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最先端レーザー光学技術を利用して超高温プラズマの温度と密度を知る

プラズマは超低温から超高温、超希薄密度から超高密度までのスケール空間に存在していますが、正確な密度と温度を知ることができれば、本性を特定することができます。最先端のレーザー光学技術を発展させ、1億度にもなる、いかなる計測機器も挿入不可能な超高温プラズマの本性を、あばきます。

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スペクトル解析によるプラズマ乱流・輸送現象の解明

プラズマ中の粒子は決して平穏ではなく、粒子と波動が共鳴的相互作用をすることによって、つむじ風のようなゆらぎ(微視的乱流)が常に発生して輸送を増やしてしまっています。高温プラズマの高性能化には物理学的にも興味深い乱流渦の発生機構を解明し、抑制することが大きな課題と認識されており、プラズマ実験、データ解析、数値シミュレーションを用いてその解明を目指しています。

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プラズマ中の多彩な揺動の計測と信号解析

様々なスペクトル解析手法を適用すると、乱流渦のサイズや周波数、複数の乱流の関連性などを特定することができます。

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