水内 亨所長挨拶

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 豊かな環境と活力ある社会を永続的に支えるため、地球環境・エネルギー問題の解決が喫緊の課題としてクローズアップされています。当研究所は、「エネルギーの生成、変換、利用の高度化に関する研究を行う」ことを目的として、1996年に設置されました。爾来、高い環境調和性を保証する「質」と、社会的需要を賄うに十分な「量」の確保を高次元に両立するエネルギーを「先進エネルギー」と位置付け、幅広い視点を持つ学際的なエネルギー研究を通じてその在り方を探求し、新しいエネルギーの学理と先進技術の創出をめざしてまいりました。多彩な分野と学術基盤を持つ教職員を擁し、エネルギー研究に資する大小様々な特色ある実験装置・設備を有する当研究所は先進エネルギーをキーワードに、個々の教職員独自の研究に加え、それらの有機的結合を図る二重点複合領域研究の二段構えでの研究を展開しています。また、海外の多くの研究機関との研究交流協定締結などを通じた研究交流のグローバル化を図るとともに、国際的エネルギー研究拠点へ向けた活動、特にアジア地域における活動も積極的に進めています。

 私たちは研究所がこれまで積み上げてきた研究成果に加え、21COE「環境調和型エネルギーの研究教育拠点形成」やGCOE「地球温暖化時代のエネルギー科学拠点 -CO2ゼロエミッションを目指して-」等、関連部局と協力して行ってきたプロジェクトの成果を基盤として、先進エネルギーの一つの在り方として「ゼロエミッションエネルギー」を掲げ、2011年度より、文部科学省認定の共同利用・共同研究拠点「ゼロエミッションエネルギー研究拠点」としての活動を展開しています。ゼロエミッションエネルギー(ZE)とは有害物質を可能な限り排出しないエネルギーであり、エネルギーの生成の際はもとより、変換や利用の際に生じるエネルギー損失や環境負荷を最小限に抑えたエネルギーシステム、あるいはそれを構成するエネルギー要素技術を意味します。「ゼロエミッションエネルギー研究拠点」では、エネルギー理工学に関わる全国の多彩な分野の研究者との密接な協働を通して、このZEの考え方を深化・発展させるとともに、それを実現するプラットホームとしてのコミュニティを形成し、次世代に相応しいエネルギー理工学の構築を目指しています。今年2015年度で5年目を迎えますが、ZEに対する認知度も次第に増加してきているように感じております。これも、この間に皆様からいただいた暖かいご支援と多大なるご協力の賜物と、心より感謝しております。今後は、視野を世界に広げ、ZE研究における国際的なハブとして機能するエネルギー国際共同研究拠点の役割を果たすため、現在の共同利用・共同研究拠点「ゼロエミッションエネルギー研究拠点」の継続と国際連携拠点としての展開を図りたいと考えております。これまで以上のご支援とご協力を賜りますよう、お願いいたします。

 国立大学の法人化とともに始まった中期目標・中期計画の仕組みですが、ご承知のように今年度は第2期中期期間の最後の年に当たります。第3期中期期間へ向け、文部科学省が国立大学改革の一環として提示した国立大学の「ミッション再定義」を踏まえた大学の機能強化が求められています。当研究所が属する本学工学分野の研究面では、「世界に誇る独創的かつトップレベルの研究の一層の深化と展開を図り、関連分野の拠点としての役割を果たす」ことが求められています。同時に教育面では、京都大学の理念に基づき、自由の学風のもと、基礎学術研究の知見を展開し先端応用・学際領域を切り拓くことのできる人材を養成する」ことが求められています。当研究所の教員は本学大学院エネルギー科学研究科の協力講座を担当していることもあり、研究、教育両面にわたり、正に今、研究所の真価が問われていると言えます。これまでに研究所が蓄積してきた研究・教育活動を基盤として、それに甘んずることなく一層の体力強化に努め、これらの要請に応えて行きます。本研究所の活動に対して、一層のご支援と変わらぬご理解、ご指導を賜りますようお願い申し上げます。

2015年4月
水内 亨

2015年4月~2017年3月

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