吉川 潔所長挨拶

yoshikawa_kiyoshi.jpg

 新しい二千年紀を迎え、また来年から新しい世紀が始まるという歴史的な時期に、人類に必須でかつ環境に優しい高品位な「エネルギーの生成・変換・利用の高度化に関する研究」を設置目的とする当研究所は5年目を迎えることになりました。

 21世紀の展望はおしなべて暗いものが多く、ことにエネルギーと環境の問題解決は焦眉の懸案となっています。先進国の特殊出生率は大きく低下しているにも係わらず依然として世界の人口は急増しており、さらに生活水準の向上を希求する全世界的な人間活動の活性化は今以上に多量でかつ多様なエネルギーを要求しています。

 人間がよりよい生活をしたいという欲求は簡単には否定できないだけに、人類全体にとりまして深刻な根元的問題を投げかけています。その点では今日迄の歴史上、これほど人類全体としての叡智が試されている時代はなかったと思います。

 エネルギー問題は今や地球温暖化や異常気象、資源枯渇などと密接に関連してますます険しい状況になっております。当研究所の設置はそういう観点からは誠に時宜を得たものですが、しかし、一方では当研究所に対する期待もますます増大し、それらに如何にかつ迅速、的確に答えることができるかが今後一層強く問われることは確実です。

 このような時期に幸いにも基幹装置であるプラズマ実験装置「ヘリオトロンJ」とマルチビーム照射装置「DuET」が関係各位のご理解により平成11年度に完成し、またほかの先進的・また先導的研究分野の実験装置類も少しずつですが整備が進んでいます。国際共同研究などにつきましても、当研究所が主導する日韓拠点大学方式交流事業が3年目に入りますが、昨年度は日韓併せて206名(991人・日)もの研究者が参加し多くの成果が上がりました。本年度はさらなる共同研究の緊密化により、一層多くの実りがある成果が期待されています。また、昨年度には自己点検評価を施行して報告書を発行するとともに、当研究所の研究・運営などに関しての外部評価をいただく準備も始め、研究所の諸活動が更に大きく伸展しようとしています。

 このような状況の下で本年度も所員一同設置目的を一層深く認識しエネルギー研究に邁進する所存ですので、何卒よろしくご指導ご支援を賜りますよう御願い申し上げます。

2000年4月
吉川 潔

2000年4月~2007年3月

  • 京都大学研究連携基盤
  • 国立大学附置研究所・センター長会議
  • 京都大学宇治キャンパス
  • 京大宇治地区三研究所技術部
  • 刊行物
  • 所内限定ページ
  • 京都大学
ページトップへ戻る